福岡歴史研究会 講義要録 2007年2月10日 一覧 戻る  
2007年「よくわかる福岡の歴史」古代史
古墳時代の国際環境と北部九州  A
講師 西 谷   正
「巨大古墳と技術革新の世紀」

1.はじめに
   藤間生大,1968『倭の五王』岩波新書
   森 浩一,1981『巨大古墳の世紀』岩波新書
2.河内と日向・筑紫の巨大古墳
    (1)大山古墳(仁徳天皇陵古墳)
    (2)女狭穂塚・男狭穂塚
    (3)岩戸山古墳
3.手工業製品における技術革新
    (1)須恵器
    (2)馬具
    (3)甲冑
    (4)金・金銅製装身具
    (5)象巌技術
4.生活様式と墓制の変革
    (1)竈の定着
    (2)横穴式石室の登場
5.おわりに
   東アジアにおける南北世界の形成

【資料】
  • 仁徳天皇陵は、被葬者が特定されているわけでなく、大山古墳が正式名、あるいは仁徳天皇陵と推定される古墳という言い方が正しいと解説。巨大古墳は、畿内のほか宮崎の女狭穂塚・男狭穂塚、筑紫の岩戸山古墳、全国的には群馬や茨城、さらには吉備にも巨大古墳が築かれている。それらには大和の大王墓と相似形のものが多い。
  • たとえば一例を挙げると、日本書紀に仁徳天皇のお妃に日向(宮崎)出身の髪長姫がいると書かれている。地方豪族と大和王権との関係がうかがわれ、大和王家による列島の統一がほぼ固まってきていた。
  • この5世紀には、巨大土木事業以外でも須恵器、馬具、甲冑、金・金銅製装身具、象嵌技術でも目覚しい発展を示す。しかし、これらの技術は朝鮮半島の遺物ときわめて共通性が高い。
  • 生活様式にも朝鮮半島との共通性が認められる。ただ、細かいところでは異なっている部分もある。
  • 5世紀の技術革新の背景には、北東アジアの複雑な国際関係があり、倭と高句麗との関係はほとんどないが、加羅(加耶)や百済、新羅からの影響が大きく、技術導入も考えられれる。
  • 朝鮮半島と北部九州の考古学の第一人者である西谷先生ならではの話がいっぱいきかれた。
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